財務省に意見書を提出〜真に介護従事者の報酬引き上げにつながる見直しを〜

急な呼びかけにも関わらず、おおぜいの参加をいただきました!

12月12日、ネット・青葉では「コロナ禍の中で介護現場の声を聴く」ミニフォーラムを開催しました。

まず、若林ともこさんより、今夏に実施した、介護事業所ならびに従事者向けのアンケート結果の概要と、回答から見える現場の実態や課題について報告がありました。

次に、ネット・青葉も参加する”生活クラブ運動グループ・横浜ユニット連絡会”より、横浜市へ提出した市民政策提案の概要や、報酬改定議論の行方など今後の見通しが共有されました。
今年の介護事業者の倒産件数は年間最多。休廃業・解散も最多ペースで進んでおり、倒産・休廃業・解散の合計件数が、初めて600件を超える可能性が強まったというデータも報告されました。

そのような中で、介護報酬の改定議論は大詰めを迎え、厚労省と財務省の折衝も続いています。
報酬増や処遇改善の必要性を訴える厚労省に対し、財務省は、当初、「国民に負担増を求めてまで介護職員の処遇改善を進める環境にない」というスタンスを表明していました。
コロナ禍の中で、高齢者やその家族を必死で支え、まさに「最後の砦」となっている介護サービス事業者が陥っているあまりに厳しい状況に、参加者からはため息が・・・。

12月17日、厚労省から、2021年度の介護報酬改定率を0.70%のプラス改定とする旨の発表がありましたが、改めて、ネット・青葉も賛同団体となり、”生活クラブ運動グループ・横浜ユニット連絡会”から、財務省に意見書を提出しました。

2021年度介護報酬改定についての意見書 1218のサムネイル

2021年度介護報酬改定についての意見書(クリックで拡大します)

その際、今回の報酬改定の考え方として、「介護者の人材確保や処遇改善などへも配慮をしつつ、介護事業者の経営実態や感染症への対応力の強化などもを踏まえて、前回の0.54を上回るプラス0.70%の報酬改定率を決定した。具体的には、厚生労働省と調整の上、年明け以降に決定していただくこととなる。感染症等への対応力の強化や、ICT化の促進についての生産性の向上など、メリハリのあるものにするという形で決定したものである。」との説明がありました。

真に介護従事者の報酬引き上げにつながる見直しを
0.70%のプラス改定を行うとされたものの、そのうち0.05%はコロナ対策費として、来年9月末までに限った暫定的な引き上げとなります。また、そもそも1%にも満たない改定率で、個々のサービスにどう反映されるのかも明らかにされていません。基本報酬や加算の詳細については、介護給付費分科会で決定することになりますが、真に介護従事者の報酬引き上げにつながる見直しでなければなりません。とりわけ、慢性的な人材不足が続く介護事業において、最も従事者の年齢層が高く深刻な状況にあるヘルパー確保に向けた対策が求められます。

基本報酬の引き上げを
0.70%のプラス改定に必要な財源は、国費としては196億円とのこと。これに、1号保険料、2号保険料、利用者の負担を含めると約800億円程度の予算規模となります。このように、介護保険財政の仕組みとして、報酬が上がると保険料も上がることから、報酬引き上げには慎重にならざるを得ないという従来からの考え方も示されました。しかし、すでに加算方式による処遇改善が進まないことも明らかになっています。基本報酬の引き上げによる抜本的な処遇改善を進めるためには、社会保障費抑制政策を見直し、その上で介護保険の財源構成の見直しも検討すべきではないでしょうか。

コロナ禍において、介護分野でもICTの導入が加速され関連予算も拡充されています。しかし、介護は人と人のつながりなくしては成り立たない分野でもあります。ネット・青葉では、介護現場で働く方をはじめとした、エッセンシャルワーカーの処遇改善を強く求め、引き続き提案を行っていきます。

12/18山崎誠衆議院議員のコーディネートのもと、財務省に意見書を提出しました。