県立瀬谷西高校における菅義偉前首相による生徒向け政治参加講演会への抗議文

5月31日、神奈川県教育委員会(教育局指導部高校教育課)より、県立瀬谷西高等学校(横浜市瀬谷区)における菅義偉前首相による生徒向け政治参加講演会の実施について記者発表されました。
この件について、子どもの未来を考える会より本日付で抗議文が提出されました。神奈川ネットワーク運動・青葉も賛同団体となりましたことをご報告いたします。

 

神奈川県知事  黒岩祐治 様
神奈川県教育長 花田忠雄 様

県立瀬谷西高校における菅義偉前首相による生徒向け政治参加講演会への抗議文

 

県立瀬谷西高校における菅義偉前首相による生徒向け政治参加講演会の実施に抗議します。

県立瀬谷西高等学校が、今年度をもって再編統合が完校することによる記念事業で、同校が取り組んできたシチズンシップ教育の一環として、政治参加に関する講演会を開催することを知りました。対象は高校3年生で、講演者は菅義偉前首相ということです。

神奈川県では、国に先駆けて2011年から県立高校にシチズンシップ教育を導入し、その一環として「政治参加教育」に取組んでこられました。国政選挙の日程に合わせ、3学年の「政治・経済」の学習の一環として、各政党等や候補者の主張や今日の政治状況などを事前学習し、模擬投票を実施している学校も複数あると聞いています。将来の民主主義の担い手である市民を育成するために、高校生の視点から自ら学ぶ機会は、意義あることと評価するところです。

このような「政治参加教育」に取組まれているなか、この度の政治参加講演会に、私たちは強い違和感を覚えます。講演されるのは現職の国会議員で、前首相でもあり知名度もある方です。しかも、6月22日には参院選の公示を控え、対象者は3年生で、選挙権を持つ生徒もいます。講演者が、公平・中立な講演をされるのは当然のことと思いますが、政治経験のない高校生にとっては、特定の政党の国会議員の講演はあまりにも影響力が大きいのではないかと危惧します。何より、教育基本法の(政治教育)第14条2項「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」に反するものではないでしょうか。

多くの市民がこの講演会に異議を唱え、抗議の声を上げています。講演会の中止もしくは講演者及び内容の再考を求めます。もし仮に開催するのであれば、特定の政党関係者に限定した講演にするのではなく、幅広く政党から講演者を選定すべきであると考えます。

この件について知事及び教育長のご見解をお聞かせください。また、開催に至った経緯も合わせてご説明いただきますようお願いいたします。

 

子どもの未来を考える会代表 郡司真弓