カジノ幻想を学ぶ~鳥畑与一さん講演会~

1月17日。オルタナティブ生活館にて、生活クラブ生協・神奈川と、生活クラブ運動グループ横浜未来アクションによる、連続講座の第1回目に参加しました。

まず、藤田ほのみさん(生活クラブ生協・神奈川理事長)より、
「カジノ・IR誘致について、直接請求に向けた動きもあるが、一人ひとりが考えて行くことが必要。今は諦めず皆で考えて行動する時。横浜市のIR誘致問題において、本質をしっかりと学習し課題を把握した上で、これから市民としての行動を取れる様、今回の講座を組み立てた。」とお話がありました。

今回の講師は、鳥畑与一さん(静岡大学人文社会科学部経済学科教授)。
「横浜市の未来を拓くというIRカジノの幻想を考える」というテーマで、実際に視察研究されておられる海外カジノの実態や、日本のIR誘致における課題等、主に経済学的な視点から講演をされました。

約1時間半に渡るお話でしたが、IR誘致の課題とその根拠を次々と示され、市民の不安を払拭する目的である筈の市長の説明会内容が、極めて不足且つ不誠実であることが、分かりやすく話されました。その中で特に印象的だったお話を抜粋します。

<海外カジノの現状>
カジノで得られた莫大な収益は、誘致した国や自治体に入るよりも、カジノ事業者や株主のポケットに流れ込む構造となっている。それは利用客の多大な損益に強く依存されているものである。日本型IRカジノに於いて、そのターゲットは間違いなく日本人であろう。
一方、アメリカのカジノでは、カジノ集客を当て込み作られたホテルやレストランが経営破綻し、空き地だらけとなってしまった街がある。
韓国では、街を活性化する為にカジノ誘致を選択したが、質屋とマッサージ店が乱立する街となり、暮らし辛い環境で後悔するも抜け出せない現実がある。
カジノ誘致で経済を活性化させるという理論は、にわかに受け入れ難い。

<横浜市が見込む税収の根拠>
今回計画されているIRの施設は、現在国内に存在しないような大規模施設を想定しているが、横浜市が見込んでいる税収額は、毎年7000億近く客に負けさせ続けないと得られない金額。机上の空論でしかないのではないか。
また、横浜市は法人税収は低いが、市民税は多い傾向にある。そこをカジノ事業者に狙われている可能性がある。

<横浜市の観光力>
市は、横浜に魅力がなく、観光客のうち宿泊者の割合が低いとしているが、日帰り客は延べ人数で過大推計し、宿泊客数は延べ人数ではないことから、正しい調査とは言えない。

<横浜市が目指しているIR>
主役はMICE(国際会議場やイベント施設、展示場)や娯楽施設としているが、家族みんなで楽しめる気軽な観光娯楽施設と謳い敷居を下げることにより、ギャンブル依存症に誘導する施設となりうる危機感を想定していない。

等々、ここには全てを書ききれないほど、横浜市民のみならず、国民として聞き逃しの出来ない貴重なお話が続きました。
皆さんにも是非聞いて頂きたいお話ばかりです。

そして、昨年末より各区で開始されている、横浜市長による市民説明会での発言全容は、生活クラブ運動グループ横浜未来アクションにより、忠実に文字起こしされています。
生活クラブ運動グループ横浜未来アクション<Facebookページ>

青葉区での説明会は、3月以降の予定ですが、これまでの説明会内容をご確認頂いた上で、ぜひ皆さんもご応募いただき、自らの声を届けましょう。
IR(統合型リゾート)市民説明会の開催について<横浜市> ※随時更新

第2回目の講座は、
「ギャンブル依存症を考える」
1月24日(金曜日)14:00~16:00
講師は精神科医の鈴木伸さんです。
お申し込みは、ご希望の講座回・お名前・ご連絡先を明記の上、ネット・青葉までお送りください。
net-aoba@nifty.com

おおぜいのご参加をお待ちしています!
(ネット・青葉は、横浜未来アクションの活動に賛同しています)