再生可能エネルギー、社会に回るためにも制度見直しが必要

川崎、横浜臨海部の発電所見学ツアーに参加して

川崎臨海部工業地帯にある、木質バイオマス発電所
川崎臨海部工業地帯にある、木質バイオマス発電所
 川崎市臨海部にある、国内再大のバイオマス発電所と、つい最近、稼働し始めた浮島太陽光発電所、そして横浜の瑞穂埠頭、ノースドッグ隣りにある、風力発電ハマウイングを見学した。

川崎バイオマス発電所
 まず、川崎バイオマス発電所は、都市部に多い住宅廃材からの木質チップを燃やすバイオマス発電で、33,000kwの発電能力。地元神奈川や東京西部からの住宅解体時の柱や梁、使用済みのパレットや木製家具、剪定木材を原料にしているとのこと。見学中にもパレットが運び混まれ重機で粉砕されていた。
 発電のしくみは至ってシンプル。この木材チップを燃やす熱で水蒸気を発生させタービンをまわして発電するというもの。国内最大規模の発電量ということで、工場は13階建ての高さ。敷地面積もそれなりのものだった。工場地帯だからこそ可能な規模。
 遠方から木材を運んできて粉砕して・・・という工程を考えると(その間にも、トラックはCO2を排出するし、エネルギーもかかる)、バイオマス発電は、もっと小規模なエリアでの方が、よりよいのでは?と考えさせられた。ちなみに発電した電気はどこへ?と聞いたがPPS(特定規模電気事業者)にほとんどを売電し、余剰分を東京電力に売っているとのことだった。

 浮島太陽光発電所
 川崎市のごみ焼却灰埋め立て地の上を活用しての東京電力による発電所。20年間、建築不可能な土地を活用する試みとしてのメガソーラーは、それなりの意義があるといえる。電力買い取り価格がもっと高くなれば、いろんな事業体が参入できる可能性が開ける。

 ハマウイング
 見学に行くと、風は吹いているのに、風車は止まっている。初めての故障?原因をこれから探るところだということだった。そのため低周波音は「体験」することはできなかった。風車の羽は長さ40m、高さは約100mと大きい!デンマーク製の機械で1980kwの発電能力。メンテナンス担当者は、言葉のカベなど様々な苦労があるようだ。都市、特に、本来、風をよけて船が停泊する港に、風車はなじまないとも。そもそも、これだけの風車を建てて投資しても、電力の買い取り価格は、今のところ、5円/KW程度という!
 実は、10円数十銭/kwなのだけれど、半分はグリーン証書分を差し引きするらしい。

作った電気が社会に回るために
 ハマウイングの買い取り価格は、10円/kwでも家庭での太陽光発電の売電に比べて格段に安い買い取り価格だった。バイオマス発電所も、建設コスト、ランニングコストを考えると採算性はどうなのか?現状では、一部の電力自由化はされているけれど、買い取りできる所は限られている。(参考:電力の自由化
地域で再生エネルギー発電所を増やすためには、発送電分離も含め、制度の見直しを急がなければ。
                             (友沢ゆみ子)