「集団的自衛権行使」で何を守るのか ?

 日本に平和憲法があることは世界の国々に知られています。アフガニスタンで現地の農民と共に、30年間井戸を掘り、砂漠を小麦の畑に変えてきた、ペシャワール会の中村哲医師は「これまでは、日本人だから助かった、もし自衛隊が迷彩服でやって来たら自分もいられなくなる。」と言います。
 安倍政権は日本を取り巻く環境が変化したと言いますが、武力ではなく粘り強い外交努力や、得意とする人道的国際貢献こそが、平和を守り国民の命や暮らしを守ることにつながると考えます。
 歴代の政権において、現行の憲法の下では「集団的自衛権の行使」はできないと内閣法制局が一貫して延べてきました。
 まず、「集団的自衛権」という言葉について、「自衛ではなく他国の紛争に武器を持って出かけていくということ」と、はっきり説明する必要があります。安倍政権が想定した事例の提示には、多くの専門家から「考えにくい」「ありえない」と呆れられ、反対に容認されることによる危険が指摘されています。そもそも憲法の解釈を変えてまでなぜ必要なのか、市民が納得できる説明はなされず、リスクについては述べられていません。

 市民団体が、県内23ヵ所で実施した街頭アンケート(シール投票)では、行使容認賛成は15%に過ぎず、60%を超える反対があったとされています。国民的議論をおざなりにし、地方自治体にさえ丁寧な説明がないことについて私たちは非常に不安を覚えます。
 市民の声も、反対する専門家の意見も無視して、国会をないがしろにする閣議決定で事実上の改憲を実行することを容認することはできません。引き続き、地域から声をあげていきます。(梅原真理子)